令和4年度(2022)構造一級試験解説【法適合確認No.1】

令和4年度の構造設計一級建築士試験・法適合確認の第1問は「構造設計者の倫理」に関する出題でした。
倫理や姿勢に関する問題は、一見すると簡単そうに見えますが、設計者としての根本的なスタンスを理解していないと迷いやすいテーマです。
この記事では問題文と解答を振り返りながら、実務との関係にも触れて解説していきます。

問題

構造設計者としての倫理等に関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。

  1. 構造設計の高度化が進み、一級建築士全体の中から構造を専門とする技術者を特定する必要が生じ、構造設計一級建築士制度が制定された。
  2. 構造設計者は、建築基準法では担保できないもろもろの要件を精査し、設計に反映させなければならない。
  3. 構造設計者がその職務を全うするためには、新しい技術や学術的知見に基づく継続的職能開発(CPD)を自ら行っていくことが不可欠である。
  4. 現在の高度に発達したコンピュータソフトウェアは、構造工学の知識習得や構造的センスの醸成が不足している技術者が使っても誤用のおそれがなく、妥当な結果が得られるほどに進化したものとなっている。

解答

解答:4
理由(例):構造設計においてはソフトウェアの結果は入力条件やモデル化に依存するため、知識不足の技術者が使えば誤用のおそれがあり、妥当な結果が保証されるわけではない。

解説

選択肢1

正しい。
阪神淡路大震災以降、構造設計者の専門性が社会的に求められ、制度化されたのが「構造設計一級建築士」。

・選択肢2

正しい。
建築基準法は「最低限の基準」にすぎず、使用性・耐久性・維持管理・経済性などを加味するのは設計者の責務。

・選択肢3

正しい。
技術革新が進む中で、継続的な学習(CPD)は職能維持のため必須。

・選択肢4

不適当。
高度なソフトウェアでも、入力条件やモデル化が誤っていれば不合理な結果を出す
構造設計者には 基礎知識+構造的判断力 が必要であり、ソフトを使うには前提理解が欠かせない。

実務でのポイント

計算プログラムではモデル作成すればなんとなくの答えが出るので構造計算をした気になってしまいます。

しかし、「ソフトが出した数値だから正しい」では済みません。

実務でのポイント
  • モデル化は妥当か?
  • 荷重条件は設計条件に合致しているか?
  • 結果は常識的なオーダーか?

これをチェックするのが構造設計者の責任です。事前に手計算で概算値を当たり、出てきた結果と比較して外れた値となっていないかを確認することも大切です。やるかやらないかはその人の意識次第ですが。

参考書

下記の本の1章で「モデル化と解析結果の妥当性」として、解析結果からモデルの妥当性を判断するポイントが書かれています。

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